マレーシアの市場でRicoh GRのフルプレススナップ機能が活躍した話について
フルプレススナップ機能とは
ピント面の距離を[1m][1.5m][2m][2.5m][5m][∞]の中から、予め設定できる機能。シャッターボタンを全押しすることでその距離にピントが合った写真をノータイムで撮れる。
液晶を見ずともピント合わせが出来る意義は大きい。アイレベル (視点)は自由自在だし、被写体にカメラの存在を気取らせず自然な撮影が可能になるからだ(人はそれを盗撮と呼ぶかもしれないが)
GRの描写は鮮やかだ。特に緑の発色が気に入っており、国内旅行では専ら彩度を上げていたが、南国の極彩色の文物との相性は悪いように思う。この作例なら、むしろ彩度を落としてやった方が具合が良かったかもしれない。
広角レンズといえどもピントは浅い。F11以上まで絞ればパンフォーカスにすることも出来るが、薄暗い市場ではF値を無闇やたらに上げたくはない。開放で撮るのは慣れるまでが大変だ。しかし、うまくピントが決まったときの見返りは大きい。
自分はピント位置1.5~2.5mを主に使っていた。1.5mは被写界深度がかなり浅くなるのでそれなりに難しい。2.5mはまだ優しいが人物を大写し出来ないジレンマがある。ワイコンを使う場合、見切れやすく鳴る代わりに被写界深度が深くなるのでピンずれしにくくなる。とりあえず写れば良いや、なら構わずワイコンを使用すべきだろう。
ちなみに、こういう写真は普通にAFで撮っている。フルプレススナップとAFをシームレスに切り替えられるのがGRの最大の魅力かもしれない。
高速で肉を斬っているオヤジを見つけたので、何となく躍動感を演出してみた。手ぶれ補正はないが、きっちり構えてやればスローシャッターだって可能だ。しかし、こうやってワンショットに時間をかけた時こそ、思い通りに構図を作れない単焦点の難しさを思い知らされる。
そんなときは、トリミングもやむを得ない。スクエアにしたのは画質劣化を抑えるための工夫だ。GRはトリミング機能やエフェクト機能が充実してるため、積極的に使っていけたらなと常々思っているのだが、なかなかどうして下手な後処理(レタッチ)に頼りきりになってしまう。
下手くそな作例を晒して偉そうなことは言えないが、スナップカメラにしか撮れない瞬間は確かにある……と私は思うのだ。写真を撮るために気を張るのではなく、自分の目に風景を焼き付けるついでに、カメラにも残しておく。その気軽さが、思いがけない写真を有む。GRはそういうライフログ的な旅カメラの最高峰にあると思う。
というわけで、Ricohさん。SR搭載のGRIII頼みまっせ。Kマウントミラーレスで28mmパンケーキとセットで出してくれても良いっすよ。(K-01系列は勘弁)